「……み、か……」
ちゃんと言葉を言いたいのに、あまりにも痛くて、口がちゃんと動いてくれない。
「栗田……大丈夫だから……なにも言うな……!」
その緒川くんの声が、あまりにも苦しそうで。
あたしの隣で言っているはずなのに、その声はよく聞こえない。
「お、がわ……く……」
――ズキンッ
「……う……ッ」
なにか硬いものに、頭を思い切り殴られたみたいな衝撃が頭に響いた。
あたしは、バランスを崩して倒れこむ。
「栗田!!」
緒川くんが、あたしの体を支える。
でも、視界がぼやけて、彼の顔がよく見えない。
声が遠くに聞こえて、よく聞こえない。