「あれ、お母さん……?」
「あ、おはよう麗紀。早いのね」
リビングに向かうと、エプロンをつけたお母さんがキッチンに立っていた。
「うん。今日はちょっと早く学校に行こうと思って……。お母さんもすごい早いね」
「お母さんはいつもこのくらいよ?お父さんのお弁当作らないとだから」
「あ、そっか」
お父さんはいつも7時頃には家を出る。
だから、お母さんもこんなに早く起きてたのか……。
「いつもは麗紀の分も作ってるんだけどね。でも今日はお弁当いらないんでしょう?」
お母さんは、トン、トン、という一定のリズムを刻みながら言う。