「ふぅ……」
ため息をつきながら、ベッドに座る。
やっぱり、落ち着くなぁ。
見慣れた壁とか、カーテンとか、小物とか。
病院は、真っ白な壁に、無地のカーテンに、小物なんて花瓶くらいだし。
あたしは部屋を見回した。
「あ……」
ふと、机の上に置かれたクマのぬいぐるみに目が止まった。
確かあれは、美歌が中一のあたしの誕生日ときにくれたやつだっけかな。
蝶ネクタイをつけて、花束を持っているクマのぬいぐるみ。
先生にバレないように、こそこそしながら渡してくれたんだっけ。
あたしは、そのときのことを思い出してクスっと笑ってしまった。



