「じゃあ麗紀さん、いってらっしゃい」
「はい」
今日は、あたしが家に帰れる日。
つまり、外泊。
病院を退院するわけでもないのに、主治医の先生と担当の看護師さんが見送ってくれてる。
「じゃあ行ってきます」
あたしはそう言って、先生と看護師さんに手を振って、車に乗った。
ゆっくりと、車にエンジンが掛かって走り出す。
「いやー、良かったな麗紀」
上機嫌のお父さん。
こんな嬉しそうなお父さんの声を聞くのは、久しぶり。
「でも麗紀、具合が悪くなったら、すぐに言うのよ?」
お母さんはやっぱり、心配性だ。
「うん」