――コンコンッ
「優香ちゃーんご飯よー」
看護婦さんが夕飯を持って病室にやってきた。
夕飯の時間が来る時間は6時。
……もう、こんな時間だったのか。
「じゃあ優香ちゃん。また今度ね」
「うん!」
優香ちゃんに手を振って、あたしは病室を出た。
やっぱり、日が暮れると寒さも増す。
「……寒」
目線を落として、ハァっと、手に息を吹きかけた。
「あら、麗紀ちゃん?」
「え……」
落としていた目線を上げると、優香ちゃんのお母さんがこちらに歩いてきていた。
「もう帰るの?」
「あ、はい。もうご飯の時間だったので……」
あたしがそう言うと、優香ちゃんのお母さんは「えっ」と口に手を当てた。
「やだ……もうそんな時間だったの」



