ここで会ってしまったら、「なんでまたいるの?」って感じになりそうだしな。
あたしは売店に向けていた足を自分の病室に戻した。
やっぱり、廊下は寒いな……。
「――れきお姉ちゃん?」
「……っ!」
思わず、足が止まった。
前にもこの声で何度か名前を呼ばれた。
栗田っていう名字を気に入ってもらえて。
あたしは少し考えて、ゆっくりと振り返った。
「やっぱりー!!れきお姉ちゃんだぁ!」
そう言って優香ちゃんは笑顔でこっちに駆け寄ってきた。
「……久しぶり、優香ちゃん」
「うん!!」
やっぱり彼女の笑顔は、緒川くんにそっくりで。
この晴れの日に負けないくらい、輝いてる。



