あたしの病室に近い、売店に向かった。
廊下は、少し寒い。
体を擦りながら売店に近づいていくと、聞いたことのある幼い女の子の声が聞こえた。
「おかーさん!これ!これ欲しいー!!」
「はいはい、これね」
この声……。
思わず、足を止めてしまう。
この声は、優香ちゃん。
笑った顔が、緒川くんにそっくりな、彼の妹。
……後で、また来よう。
別に、避けてるわけじゃない。
ただ、優香ちゃんの笑顔を見てしまうと、緒川くんの笑った顔も思い出してしまいそうで。
そして、笑顔の緒川くんに、あんな悲しそうな顔をさせたのは、あたし。
……なんだか、優香ちゃんに申し訳ない。
それに、お母さんも一緒みたいだし。



