病室の扉を見ると、先生はもう居なかった。
大丈夫、この位の痛みなら我慢出来る。
「先生も、仕事たまってるんじゃない?」
そう言うと、先生は困ったように苦笑いをした。
「それ言うか?もう学校に行きたくないよ。仕事がたまりすぎててな」
頭を掻きながら先生が言う。
「うわぁー、先生がそれ言っちゃダメでしょ」
紗夜が意地悪く笑いながら言う。
「じゃあ、先生の仕事もあるみたいだし、帰りますか」
「そうだな、仕方ないな」
そう言って二人は立ち上がった。
「じゃあ、麗紀。待ってるからね!」
その紗夜の言葉にあたしは笑顔で頷くことしか出来なかった。
返事をしようとしたけど、声が出なかった。



