「麗紀、なにか飲みたいものある?」
明るい声で、お母さんが言った。
「買ってきてくれるの?」
「えぇ。この病室から売店、近いのよ」
財布を持って笑うお母さんにつられて、あたしも笑った。
「じゃあ……炭酸がいいな」
「炭酸ね。じゃあ、ちょっと待っててね」
そう言って、お母さんは病室を出て行った。
きっとお母さんは、無理に笑ってる。
無理に、明るく接してくれている。
……すごく、無理している。
あたし、倒れる前、お母さんにひどいこと言ったよね。
……あたしは、親不孝者だって言ったんだっけ。
それでも、お母さんは、あたしを優しく抱きしめてくれた。
どこまで、こんなあたしを許してくれるんだろう。



