「……紀、麗紀!!」
「……ん……」
目を開けると、さっきの世界とは真逆の白い、明るい天井があった。
思わず、目を細める。
「麗紀!!大丈夫!?ちょっと待っててね、今先生を呼ぶから!」
聞きなれた声が、頭に響いた。
まだ光に慣れていない目を擦ろうと、腕を顔に持ってくると、手首に針が刺さっていた。
……点滴、か。
ぼんやりと、覚めない頭で思う。
「麗紀さん!大丈夫ですか?」
すると、見慣れた白衣の男の人がやって来た。
「大丈夫、です……」
掠れた声。
先生に、聞こえただろうか。
「……顔色も、運ばれた時よりは大分マシになりましたね。」
先生は安堵の表情を見せた。
その横では、お母さんがハンカチで涙を拭いている。
「麗紀さん、朝から、体調はあまり良くなかったんじゃないですか?」
先生にそう言われ、あたしは小さく首を横に振った。