……あたしが消えても、みんなは生きてるし、この世界にいる。
あたしがしてきたこと全部、最低なこと。
いきなりキレて、人を傷つけて。
そして、謝りもせずに、消えるんだ。
「麗紀……」
お母さんの、震える声が聞こえた。
あたしはギュっと、手に力を入れた。
……もう謝れないし、もう戻れない。
人の気持ちは繊細で、でも、とても単純だ。
一度裏切られれば、もう信じることは出来ない。
信じたとしても、心のどこかで、疑うんだ。
「お母さんは、まだ希望を捨ててないのよ」
予想もしなかった力強い声に、俯いていた顔を上げた。
すると、お母さんは泣いていた。
ボロボロに、悲しく、泣いていた。



