あたしは本をテーブルの上に置いた。
そして、小さく深呼吸する。
不安と緊張で、胸が気持ち悪い。
「……お母さん」
あたしは目を伏せて言う。
「……あたしはさ、もう、助からないんだよ。なんていうか、実感するんだ。…“あぁ、あたし、もうすぐで居なくなるんだな“って。“お母さんや……美歌、と離れるんだな”ってさ」
言葉を吐くごとに、胸の気持ち悪い感じが、どんどん広がっていくような気がした。
それでも、あたしは話す。
「あたし、親不幸者だよね。……親よりさ、先に死んじゃうんだもん。先に、居なくなっちゃうんだもん」
前に、思ったこと。
これをお母さんに、言うつもりは無かった。
でも……もうなんだか、どうでも良くなってしまったんだ。



