「…出来ないでしょ?あたしを助けることなんか」
そう、誰もあたしを助けることは出来ない。
美歌でも、親でも先生でも、緒川くんでも。
「もう、あたしに関わらないで…きっと……」
“きっと、後悔するから”
そう言おうとしたのに、喉が詰まった。
「……じゃ」
あたしは彼から視線を外して、重いコンクリートの扉を閉めた。
ガシャンッ!と大きな音が、耳に響く。
その大きな音のせいか、目眩がした。
あたしは壁に手を当てながら、階段を下りる。
…さっきの、緒川くんの悲しい顔が忘れられない。
美歌の、泣きそうな顔が忘れられない。
目を閉じれば、ハッキリ、そのふたりの顔が浮かぶ。



