もう、頭がパンクしそう。
心がはち切れそう。
「……なにを、抱え込んでるんだよ…」
その声はとても小さくて、まるで独り言のように聞こえた。
緒川くんは手で前髪をグシャっと掴んだ。
その手の影に、彼の顔が隠れる。
…前にも言ったでしょう?
あたしの悩みは、いつか分かるって。
あたしの抱え込んでることは、きっといつか分かる。
そのときは、もうあたしはいない。
「……離して」
そう言って、あたしは彼の手を振り払った。
緒川くんは驚いて、こちらに視線を向ける。
あたしはその視線を捕まえる。
この人とも、別れよう。本当に。
小さく、深呼吸した。
「……あなたに関係ないでしょ。あたしが悩もうが、なにか抱え込んでいようが、あなたには関係ない。話したところで、あたしを助けてくれるの?」
なるべく低い声で、冷静に。
声が震えないよう、強気で喋る。
緒川くんは少し眉を寄せた。



