「…ッ…なんでお前…なんで泣いてるんだよ!」
緒川くんの声が、痛いくらい頭に響く。
それは、怒鳴り声とかじゃなく、悲しい声で。
緒川くんの震えていた声が、いつまでも耳に残ってる。
「…なんでって……」
振り向かず、掠れた声で呟く。
「…関係……ないでしょ」
声が震える。
緒川くんには、関係ないこと。
これは、あたしと美歌の問題だ。
いや、もうあたしと美歌は終わってしまったんだから、問題でもなんでもないんだけど。
それでも、あたしが泣いてる理由は……
結局、あたしは死ぬのを待つしかないんだな、って思ったから。
「…俺、言ったよな。何でも言えって。悩みとか、全部俺に言えって」
低い、落ち着いた声。
腕を掴まれる力が少し強くなった。



