そのまま、屋上の重い扉を開ける。
今日は、ここで一日を過ごそう。
この時間に家に帰っても、ただ心配されるだけだ。
あたしは鞄をコンクリートの上に放り投げた。
ドサッ、という音と共に、カシャンと小さい音も聞こえて、あたしはその音がなんなのか目で探す。
「…あ……」
美歌とお揃いの、クマのストラップ。
そのストラップのチャームが切れて、落ちたんだ。
あたしは、そのストラップを手に取る。
何年も前に買ったから、水色が少し汚くなっている。
確か、美歌はピンク色を買ったんだっけ。
「………ッ」
温かいものが、あたしの頬を伝う。
そして、そのまま、あたしが持っていたストラップを濡らす。



