「……なにを、やめるの」
さっきまで震えていた美歌の声は、今は強気だ。
わかる。今、美歌は怒ってる。
「ねぇ、美歌。……もう、ダメなんだよ」
あたしが、もうダメなんだ。
あたしはもう、美歌と一緒に居れる自信がないんだよ。
「なに、言ってるの…麗紀」
一歩、美歌があたしに近づいた。
あたしはそれを止めるように、美歌の方を見る。
まっすぐ、目を見て。
「もう、疲れたんだ。あたし、もう美歌とは一緒にいたくない」
また、喉が締め付けられる。
美歌、ウソだよ。
本当は、ずっと一緒にいたい。
おばあちゃんになっても、話していたい。
「もう、やめよう」
「――なにを!!なにをやめるの!?」
美歌は、狂ったように叫ぶ。
その表情は、初めて見る顔だった。
不安で不安でしかたなくて、ウソだと信じたくて。
でも、なにを信じればいいのかわからなくて。
ただ、叫ぶことしか出来ないんだよね。
美歌は、それでいい。
今から、美歌の中で“栗田 麗紀”は、最悪な人間になるから。