あたしが覚悟出来ていても、お母さんが出来てないか…。
ごめんね、お母さん。あたしの勝手で。
「…麗紀さん、お母さん…。…麗紀さんの腫瘍は大きくなっています。スピードは上がっています」
先生はあたしの目を見て言った。
あたしは決して、目を逸らさない。
先生からも、現実からも。
「……麗紀さんは若いので、まだまだ体力があります。でも、その若い分、病気の進行が早いです。
この前はスピードが遅くなっていたのですが、悪性の腫瘍は、普通は月単位で進行しますが、ときには週単位で進行します。」
――…麗紀さんの腫瘍は、予想以上のスピードです。
そう先生は、言った。
あたしは俯き、小さく深呼吸する。
無理やり、今の話を頭に理解させるために。
「…もう、この大きさでは、本当に手術は不可能です」
先生がそう言った瞬間、あたしの肩に置かれていたお母さんの手が離れた。
そして、後ろですすり泣く声。



