「あ、麗紀さん。…今日は親御さんは?」
「いないです。あたし一人で来ました」
そう言うと、先生は「そうですか」と言いながら、紙をめくった。
その顔は、少し険しい。
嫌な予感がする。
「……腫瘍、どうですか」
あたしの言葉に、先生は眉をピクリと動かした。
これは、先生の癖だ。
なんどか診察に来て知ったけど、この先生は、良くないことを聞かれると眉がピクリと動くんだ。
この嫌な予感が、どんどん確信に変わっていく。
「先生。言ってください。……普通は、親だけに言う事なんだろうけど…」
…普通、ドラマとかだと、子供の容態が悪いと、先生はその子供の“親”に容態を伝える。
でも、そんなの、あたしは嫌だ。
本当のことを訊くのは、怖い。
でも、自分の体のことは、
…自分の命のことは、自分が聞きたい。
何も知らないなんて、嫌だ。



