「また、優香に会いに来てやってくれないか」
大人びた低い声に、ふいに、心臓が跳ねた。
「……もちろん。優香ちゃん、可愛いもん」
そう言うと、緒川くんは少し笑った。
「優香ちゃん、緒川くんから貰ったぬいぐるみ、すごい大切にしてた。」
何故か緒川くんは、悲しい顔をした。
「アイツ……、昔っから体弱くて、入退院を繰り返してるんだ。……俺にできることは、ぬいぐるみを買ってやることしか出来ない」
そう言った彼の横顔が、とても切ない。
いつもの元気な姿じゃなくて、
たまに大人っぽくなるんじゃなくて、
ひどく、自分を責めて、悲しい。
「……違う。緒川くんは、優香ちゃんを大切に思ってる。……それは、優香ちゃんにきっと伝わってるよ。優香ちゃん、あのぬいぐるみを“わたしのお友達”って、すごく嬉しそうに言ってた」
どうして、もっと上手いことが言えないんだ、あたしは。
励まそうとしてるのに、結局、励ましてるのかよくわからないことを言ってしまった。



