その言葉に、緒川くんは驚いたのか、笑うのをやめて目を見開いた。
「笑い方が、優香ちゃんとそっくり」
「……そうかぁ?あんま言われたことねーな」
そう言って、緒川くんは自分の顔をペタペタと触った。
その様子が可笑しくて、あたしは笑った。
きっと、彼なりに考えた質問だったんだろう。
なるべく、今あたしの状況に触れないよう、そして、なるべく自然に。
そう考えたら、“昨日の大会の結果”が一番無難な質問だ。
……いっそ、訊いてくれれば良かった。
今、本当に自分が知りたいことをあたしに言って、あたしの全てを知ってしまえば良かったのに。
そうしたらきっとあなたは、あたしから離れて行くでしょう?
もうすぐ死ぬかもしれない人間になんて、わざわざ近づく人なんていないでしょう?



