きっと、お見舞いに来たんだろう。
……なんて、タイミングが悪いんだ。
ため息をつきながら、空を見上げた。
学校じゃないから、あの鳥はいない。
でも、今日の空は、雲ひとつない空だ。
「――栗田」
その声と同時に、青かった視界が急に暗くなった。
というか、青い世界の変わりに、整った顔がどアップで現れた。
あたしは驚いたけど、それを声に出すことはなかった。
さっきの方が、100倍驚いたし。
「栗田」
もう一度、優しく呼ばれた。
「……なに」
あたしは顔を正面に戻し、そのまま俯いた。
こんな姿で、彼の前に立ちたくない。
こんなのまるで、“病人”だ。
……いや、あたしは病人か。



