元気な声が、病室に響く。
「こんにちは、優香ちゃん。遊びに来ちゃった」
「やったー!!」
優香ちゃんはベッドから降りて、あたしに飛びついた。
「ちょ、寝てなきゃダメなんじゃないの?」
あたしがそう言うと、優香ちゃんは「あっ」と少し焦りながらベッドに戻った。
あたしはベッドの横に置いてあったイスに座った。
少し病室を見渡していると、あたしの膝の上に何かが乗っかった。
「ん?」と小さく言いながら、目線を膝の上にやると、クマのぬいぐるみが置いてあった。
「わ、かわいい。これ、優香ちゃんの?」
そう言うと、彼女は「うん!」と頷いて笑った。
「これね、お兄ちゃんがくれたの!わたしのお友達!」
嬉しそうに話すから、なんだかあたしも嬉しい気持ちになった。
「お兄ちゃん、優しいんだね」
「うん!お姉ちゃんもいるの!!でもね、今は遠くにいて会えないの」
今の今まで笑顔だった表情が、少し暗くなった。