「そっか…」
小さく呟いたときに、丁度お父さんが帰ってきた。
「おお、麗紀。金賞、おめでとう」
「…ありがとう」
なんだか、少し照れた。
あたしは、褒められたりするのがすごく苦手だ。
だからいつも、苦笑いをしてしまう。
「お母さんなんて、感動して泣いてたんだぞ」
肩をすくめながら、お父さんが言った。
「えぇ!?な、泣いた!!?」
あたしは驚いて、お母さんの方に視線を移す。
「…いや、なんかね。麗紀たちの演奏聴いてたら、色んな感情がこみ上げてきちゃって…」
そう言って、お母さんはイスに腰掛けた。
……感動、してくれたんだ。
「さ、食べましょう!冷めちゃう前に」
お母さんの言葉にあたしとお父さんはイスに座った。



