「……やばい、めっちゃ緊張してる…」
小声で、隣にいた紗夜が言った。
その声と肩は、微かに震えていて、
見てるこっちがさらに緊張しそうだ。
――今は、ステージの舞台袖。
薄暗くて、みんなの表情がよく見えない。
あたしは目を閉じて、深呼吸をした。
…本当に、この一週間があっという間で、
死に物狂いで過ごした日々は、一瞬だった。
―――パチパチパチパチ
たくさんの拍手の音が耳に届く。
「お前達なら、大丈夫だ。笑ってシュークリームを食うぞ!!」
山ちゃんの言葉で、みんなが微笑んだ。
そしてあたし達は、舞台に上がった。



