「じゃ、また明日ー!」
「うん!!明日!」
そう言って、2人同時に相手に背を向けて歩き出す。
このやり取りも、何年も…何十年もやって来た。
2人別れを告げ、その次の日に朝のあいさつして…。
振り返ると、美歌はもう闇の中に消えていた。
…あと、あのやり取りを何回できるのだろう。
ふいにそんなことを考えてしまい、頭を横に振った。
こういう自分が、キライだ。
“こうする”って決めたはずなのに、その決めたことに反することを考えてしまう自分が。
…優柔不断なんだ、あたしは。
「ただいまー」
「………」
当たり前に帰ってくるはずの返事が、来ない。



