この光景は、一体どうなんだろう。
病院で5才の小さな女の子と、制服を着た高校生がピンクのボールを投げ合ってるって。
…でも、楽しいから周りの目なんて気にしないけど。
「―ゆかー?ゆかー!」
「あ!お母さんだー!」
そう言ってゆかちゃんがあたしの後ろを指差した。
その指が示している所を辿りながら振り向くと、茶髪のスラっとした女の人がこちらに走ってきていた。
「あ!ゆか!もう、探したんだから!」
……きっと、ゆかちゃんのお母さんだよね。
長い茶髪を横で一つにくくってあり、普通の女の人なのに、どこか品があるような人。
そんなゆかちゃんのお母さんはあたしに気づいたらしく、優しく笑った。
「ありがとうございます。ゆかと…娘と遊んでくださって…」
「あ、いえ!あたしも楽しかったです!」
そう言うと、ゆかちゃんママは「ほら、お礼言いなさい」とゆかちゃんに言った。



