…なんだか、外の空気を吸いたい…。
そう思ったあたしは、病院の中庭に向かった。
中庭にはベンチがあり、そこに座った。
「……、はぁぁぁ…」
肺に溜まっていた空気を全部吐き出した。
そのとき、不意に肩を誰かに叩かれた。
振り返ると、ピンクのボールとけん玉を持った小さな女の子が立っていた。
…病衣を着てるってことは、ここに入院してるのかな。
「どうしたの?」
そう言って話しかけると、女の子は笑顔になった。
「わたしね!おがわ ゆかって言うの!5才!!」
彼女は、あたしの顔の前に指を5本、突き出した。
「ゆかちゃん…。5才なのね…。」
「うん!!ねぇ、お姉ちゃんはなんていう名前?」
無邪気な笑顔で、ゆかちゃんは訊いてきた。
その笑顔に、何故か彼の笑顔が重なる。
「あたしはね。栗田 麗紀。れき、だよ」
「くり!?わたし、くり大好き!!」
嬉しそうにゆかちゃんは「くりー!」と言って笑った。



