『―清水さーん』
アナウンスの声が、待合室に響く。
ここは、昨日話していた病院。
受付にはたくさんの人がいたけど、ここ、脳外科はそんなじゃない。
周りを見ると、お年寄りばかりだ。
あたし、なんか緊張してる…。
…あたしの頭の中の塊は、どうなっているのだろうか。
大きくなって、いるのだろうか…。
そんなことを考えていると、お母さんがあたしの手を握った。
「大丈夫よ、麗紀。大丈夫…」
「…うん」
きっと、お母さんもあたしと同じことを、考えてる。
『―栗田さーん。栗田麗紀さーん』
名前を呼ばれ、思わずビクっとしてしまった。
「…麗紀、行くよ…」
「うん…」
診察室の扉を開けると、「まずは、腫瘍の大きさを調べましょう」と看護婦さんに言われ、あたしはMRI室に案内された。



