「……じゃあ、お母さんも、麗紀を一緒に戦わなくちゃね」
お母さんは、落ちたコスモスの花を拾いながら言った。
「…ありがとう、お母さん」
大粒の涙が、あたしの目からこぼれ落ちた。
「あなたの泣き顔見たのなんて、何年ぶりかしら」
そう言って、お母さんはあたしを抱き寄せた。
改めて、お母さんの小ささに驚く。
あたしはもう、すっかりお母さんの背を越していた。
昔は見上げていた顔が、今は下にある。
「ふふ、あなた。大きくなったわねぇ」
そう言って、お母さんは小さな子供をあやすようにあたしの頭を撫でた。
「…へへ、まだまだ伸びるよ。あたしの背は」
「そうね。あとどのくらい伸びるのかしらね…」
そんな話しをしながら、クスクス笑った。
夢を、見てもいいでしょう?
美歌みたいに、美容師になる。っていう夢じゃなくて、
半年後、あたしは生きてる。という夢を。



