「おお、美歌頭いいね」
「でっしょ~!」
勝ち誇ったような顔をする美歌が面白くて思わず笑ってしまう。
「あ、あれだ!」
ケータイの光にキラリと反射したコップ。
あたしはそこに駆け寄った。
「良かった……枯れてない」
そう言いながら、ピンクのコスモスが入ったコップを手に取る。
「わ、綺麗な花!……って、なんでこんな所に花があるの?」
首を傾げて美歌は言った。
「なんかね、屋上に置いてあったの」
嘘は言ってない。たぶん。
でもここで正直に、「鳥が持ってきてくれた」なんて言ったら、頭がおかしいやつだと思われるかもしれない。
それに、鳥が持って来てくれたかは、本当のところ分からないし……。
「へ~、誰が置いたんだろうね。こんな屋上なんかに」