「―――ここはこの公式を使って――…」
気づけば、もう今日最後の授業になっていた。
今の時間は数学。
数学は結構好きだけど、今はなんだか先生の話を聞く気にはなれない。
あたしは先生の話を聞かずにただ、黒板に書かれた言葉をそのままノートに写していた。
この時間が終われば、部活だ。
そう思えば、この退屈な時間も少しは楽に思える。
……そういえば、華、大丈夫かな…。
昼休みに、様子を見に行こうと思ったけど、うっかりしてて忘れてしまった。
枯れてなきゃ、いいけど……。
そのとき、雲に隠れていた太陽が顔を出した。
そして、その暖かい光があたって、あたしは目を細めた。
「…美歌、ねぇ綺麗だよ」
あたしは外を向いたまま、美歌に話しかけた。
「………」
「ねぇ、美歌――…」



