「ふぅ……」
落ち着け、あたし。
……あれだ、緒川くんに会ったら、無心になろう。
これからは、彼を視界に入れることも、彼の声を耳に入れることも控えよう。
声を聞かないっていうのは、ムリかもしれないけど…。
前みたいに、彼の存在を、気にしなきゃいいんだ。
あたしは鏡の前に立って、髪を整えた。
平常心、平常心―――…
~~♪
「…!!」
トイレにあたしのケータイの着信音が響いた。
ディスプレイを見てみると、お母さんからだった。
確か今朝も、お母さんから電話があったよね…。
あたしは少し緊張しながら電話に出た。



