でも、美歌はどんな髪型をしても似合う。
美歌はもともと髪の色素が薄い。
だから、下ろしていても重たい感じにならなくて自然だ。
「あ、和也くんだ」
美歌の言葉に、心臓が跳ねる。
廊下に人だかりが出来ている。
で、その中心にいるのは、…緒川くんだ。
…もう、関係ないんだ。
そう思いながら、あたしはその人だかりを通り過ぎようとした。
でも、その瞬間、緒川くんと目があってしまった。
「…っ、ごめん美歌!あたしトイレ!!」
あたしはその場から逃げるように、トイレに駆け込んだ。
……あたし、あの人のこと、好きになってる。
だめ、だめなのに…。
あたしはこの感情の止め方を知らない。
きっと、今みたいなことがまたあったら、この感情は大きくなっていく。



