爪が、手に食い込む。 血が出るんじゃないかってくらいの痛みが、右手に走る。 「麗紀?」 「え、あ、な、なに?」 「あ、ううん。なんか苦しそうだったから」 ……どうして、分かってしまうんだろうか。 「あはは、…全然大丈夫だよ!!ほら美歌、早く行こ!!」 無理やり笑顔を作って、あたしは階段に足をかけた。 「あ、美歌。今日は髪下ろしてるんだね」 「うん!…というか、寝坊しまして…」 そう言って、美歌は頭をかいた。 「時間がなかったんだ?」 「そういうわけですね…」