「怖い……っ、死ぬのが、怖い……!」
手で髪をぐしゃぐしゃにしながら言った。
もう、髪が抜けてしまうんじゃないかってぐらい、髪を掴んだ。
目を固くつむって、耳を塞いで。
真っ暗な、何も聞こえない世界に行きたかった。
何も考えずに、居たかった。
この頭の中にある塊を、忘れたかった。
「…栗田……」
小さく呟きながら、彼はあたしの手に触れた。
その瞬間、体がそれを拒否した。
「――触らないでっ!!」
何も知らないくせに。
いきなり、あたしの人生に入り込んで。
あたしの心に、入り込んで。
いつも、笑っていて。
あなたなんかに、あたしの気持ちが分かるわけない。
もう、あたしに関わってこないでよ。



