――ガシャンッ
案外、簡単に乗り越えられるんだ……。
そりゃそうか。
このフェンス、あたしの腰の位置くらいの高さだし。
……あとは、一歩踏み出すだけ……。
あたしは目をつむって、踏み出そうとした。
そのとき―――…
~~♪
ポケットから、着信音が聞こえた。
…誰?
ケータイを取り出し、ディスプレイを見るとお母さんからの電話だった。
きっと、朝起きたらあたしはいなくて驚いたんだろう。
ごめんね、お母さん。
あたしはこの電話に出ることは、出来ない。
そう思った瞬間、手からケータイが滑り落ちた。
もう、終わりだ…。
風が、あたしの背中を押した。
――「イッテ!!!」
え…。



