学校についた頃には、少し前髪が濡れていた。 こんな朝早くに、学校は開いているか不安だったけど運よく開いていた。 あたしは靴を履き替えて、屋上に向かった。 重いコンクリートの扉を開けると、さっきよりは霧が薄くなっていた。 冷たいフェンスに、手をかける。 湿気を包んだ風が、あたしの髪を撫でた。 もう、髪が広がっちゃうじゃない。 そう言えば、昨日もここに来たんだよね。 …なんでだろう。 昨日のことを思い出すと、懐かしく感じるのは。 遥か昔の出来事だったみたいに、思えるのは。