ちゃんと、声が出た。
でも、裂けるような痛みが喉を襲う。
「大丈夫、だから……」
あたしの言葉に、お父さんは受話器を握りしめていた。
「――だめよ!今、大丈夫だったとしても、もしものことがあったら…!!!」
お母さんは、あたしの手を強く握り締めながら言った。
もしものこと…って?
それって、
“あたしが死ぬかもしれない”
ってこと?
「……わかった。…麗紀がそう言うなら、大丈夫だろう」
そう言って、お父さんが受話器を置いた。
「あなた…!!」
「大丈夫だ。…そうだろ?麗紀……」
あたしは、声が出ない代わりに、力強く頷いた。