苦しんでいるのは、あたしだけじゃない。



お父さんもお母さんも、苦しんでる。




…あたしが、苦しめている。





あたしは勢いよく階段を降りた。


お父さんに、「おかえり」の言葉も言わずに、洗面所に入った。



ダメだ。また、泣いてしまう。



服を脱ぎ捨てて、お風呂場に入った。



キュッとシャワーの蛇口を捻ると、冷たい水があたしの体を濡らした。



寒い、冷たい。



「……う、」


ザァァっという音が、あたしの嗚咽を聞こえなくしてくれる。



これなら、泣いてるって、バレないかな…。



「…う、ううっ……うっ」



冷たい水と一緒に、涙が流れていく。



冷たい水が、あたしを刺した。