ケータイに、新しい名前が加わった。
あたしは、この瞬間が好きだったりする。
……また新しい人と繋がれた気がするから。
なのにこの時あたしは、“怖い”と思った。
あと、半年しか生きられないあたしが、新しい人と関わっていいのか。
そう思ったら、全身からサァッと血の気が引いた。
一瞬、脳が考えることをやめたみたいに。
なにもかもが、わからなくなった。
「……麗紀?」
「え……、あ……」
ガシャン、とあたしはケータイを落としてしまった。
焦りながら、あたしはそれを拾う。
「な、なにお母さん……」
「ジャガイモ切るの、手伝ってもらおうとおもって……。ちょっとあなた、顔色悪いわよ?横になる?もしかして、頭痛いの……!?」
お母さんに思い切り肩を掴まれたから、バランスを崩しそうになった。
「だ、だいじょうぶ……。ちょっと、疲れただけ……」
「……あまり、ムリしちゃダメよ……。今日は早く寝なさいね」
「う、うん。ちょっと待ってて……。あとで台所行くから……」
お母さんは、心配そうな顔をして戻って行った。



