「じゃ、いくぞー」 そう言って、彼はゆっくりとペダルをこいだ。 ふわりと、冷たい風が肌を撫でる。 「なぁ」 「ん?」 朝とは違い、叫ばなくても会話ができた。 「なんかあったら、言えよー」 「……え?」 「だからー、悩みとか、俺に言えー!」 な、んで……。 なんで、そんなこと言う訳? あなたの言葉は、スッと胸に溶け込んでくる。 あなたはそう言ってくれたけど……、 きっと、あたしの悩みをあなたに話しては、いけない。