ギクリ。 あ~……失敗した。このタイミングで薬を飲もうなんて思わなきゃよかった。 でも、ここで薬をしまうのも変だし……。 「えーと……ダイエットのやつ?」 あたしは少し目を泳がせて言う。 「はぁ?お前ダイエットしなくたって十分細いだろ。それ以上痩せたら骨になんぞ」 「……なりませんよ」 あっさりとあたしの嘘を信じた緒川くんに、少しの安心と少しの罪悪感を感じた。 いや、これでいいんだ。 これで……いいんだ。 そう自分に言い聞かせて、あたしは薬を飲んだ。