なんだか、全部この人のペースだな。
そう思いながらあたしはおにぎりを食べた。
ただのおにぎりなのに、とても美味しく感じた。
理由は、綺麗な海を夕日を眺めているからか、この人が隣にいるからか。
それとも両方なのか。
でも、本当に美味しかったんだ。
「あー食った、食った。なんだか今日のメシは美味かったなー」
そう言いながら緒川くんは、「ごちそうさまでした」と言って手を合わせた。
あたしも、同じように、手を合わせる。
あ、そうだ。薬飲まなきゃ。
あたしはカバンから、薬を出した。
「あ?なんだそれ。お前、どっかわりぃのか?」



