「み、美歌……ごめん。」
『もう!ずっといないんだもん!!心配したんだから!!」
半分泣いているような声で美歌は怒る。
そんな美歌にあたしは「ごめん」としか言えなかった。
『もうっ!麗紀、今どこいるの!?』
「え゛……」
美歌の言葉に、あたしは思わず周りを見渡す。
目の前には、オレンジ色に染まった空と海。
「え、えーっと……海?」
『は!?う、海!?な、なんで!?』
大きな声に、また耳からケータイを離した。
「なんで、って……。なんでだろう」
『えぇ!?なにそれ!』
……だって、説明のしようがない。
“緒川くんと一緒に来ました”なんて言ったら、美歌はパニックになってあたしにたくさん質問してくるはず。



