あたしがにこっと笑ってそう言うと、先生も嬉しそうに顔を綻ばせて頷いた。


「先生嬉しいわ。だって、川原さん、最初の頃は私の話に全然耳を傾けてくれなかったんですもの」


「そ、それは申し訳なかったですけど……!」


苦笑する澤田先生。あたしも反射的に謝るけど、それは許して欲しいと思ってる。
あの頃は正直まだ先生を信じていなかったし、あたしもただいじめられたという事実だけがあたしを支配していて気が立っていたということもあったから。


「ふふっ、冗談よ」


「もう先生ったら~」


いたずらっぽく笑う先生に、あたしもつられて頬がゆるむ。


若くて甘ちゃんな先生だとばかり思っていたけど、こんなふうにおちゃめなところや、底知れぬ情熱は、若いからこそ持てるものだと思う。


澤田先生にはこれからも教師を続けて欲しいし、今のままでいてほしい。


「さあ!そうと決まれば、さっそくテストに向けて勉強するわよ!」


「えー、今日からするんですかー……」


ぼやくあたしに、「あと5日しかないんだから!」と、先生が喝を入れる。


「じゃあ、まずは今日の授業のノートを写しなさい!」


びしっと美空のコピーを指さされてしまってはやるしかない。


あたしは、しぶしぶ筆記用具を取りに、再び自室へと戻ったのでした。