蒼唯は、いじめを受けていた。


生前の俺と同じように、クラスでいじめられていた女の子を助けたことをきっかけに、いじめられてしまうようになった。


正義感のある蒼唯らしい行動だ、と俺は変わらない彼女に嬉しく思っていたけど、蒼唯の心は日を追うごとに冷えていき、凍ってしまった。


蒼唯やもう一人の子をいじめている子も、何かしらの理由があるんだろうなとは思ったけど、大事な人が苦しんでいるのを黙って見ているのは本当につらかった。


皮肉にも蒼唯が自分の死に選んだ場所は、俺と初めて会ったこの川の橋。


たまらなくなって、俺は待ち望んでいた彼女に、真っ先に伝えたかった言葉を飲み込んで、声をかけたのだ。


久しぶりに呼んだ“あおちゃん”というあだ名は、俺の方も照れ臭くて、結局呼び捨てで呼ぶことに。


“碧”と、以前と変わらない呼び方をする蒼唯に、愛しさが込み上げて今すぐにでもこの手に抱きしめてしまいそうになったけど。


今まで抱えてきたつらさを俺に話してくれて、流す涙を見ているうちに、俺は決意を新たにした。


告白するのはまだ早い。


蒼唯を、生前の俺のように苦しんでいる蒼唯を、今度は俺が蒼唯にしてもらったように助けるんだ。


助けたあと、蒼唯にかつての笑顔が戻ったら、その時に伝えるんだ、と。