バイナリー・ハート 番外編



 また余計な事に気付いてしまった。
 ランシュは恥ずかしくても赤面したり出来ないようだ。

 ロイドは涼しい顔で、ランシュの額を叩く。


「今想像しただろう。エロ息子」

「やめて下さい。ユイはオレのお母さんで、あなたはお父さんなんですよ。
データの上では。なんならお父さんと呼びましょうか」

「やめろ」


 言い争っていながらも、以前のような険悪な雰囲気がないせいか、どことなく微笑ましい。

 結衣は二人に背を向けて台所へ向かった。


「ユイ、どこへ行く」


 気付いたロイドが声をかけた。
 結衣は振り返り、笑いながら言う。