大きな檜風呂で脚を伸ばして湯にゆっくり浸かった後、浴衣と羽織を着て大広間に戻った若葉は、朔の様子が気になって蜜柑を2つ手に握って再び朔の部屋を訪ねた。
「朔ちゃん…起きてる?蜜柑一緒に食べようよ」
「…入って」
小さな返事が聴こえたので少しだけ襖を開くと、朔は背を向けて火鉢の前で本を読んでいた。
半妖故にある日突然背が伸びてどんどん大人びてしまった朔――
今や主さまに引けを取らない背の高さだし、無邪気さはそのままに外見は主さまそのもの――女にもてないわけがない。
こんなかっこいい幼馴染が居ることを自慢に思っていたが、どう伝えればいいのかわからずに今まで過ごしてしまった若葉は、回り込んで朔の前に座った。
「あったかいね。はい朔ちゃん、蜜柑」
「…うん、ありがとう。…若葉、何も起きなかったよな?」
「何も起きなかったってなに?何か起きる予定だったの?」
「…なんでもない。お前は俺の幼馴染だから心配なんだ。軽はずみに男の家に行って危ない目に遭ったりするな。…心配なんだ」
朔の切れ長の黒瞳が本当に心配そうに少し垂れたので、何を心配されているかもわからないままだった若葉は、蜜柑の皮を剥いて朔に手渡すと、こくんと頷いた。
2人でひとつの蜜柑を分け合って無言で食べているうちに、ぴりぴりとした空気が和らぎ、ようやく朔が話すようになった。
「朔ちゃんは…ひのえちゃんのこと、嫌い?」
「話したことないからわからない。でも好きじゃない気がする」
「どうして?私…ひのえちゃんのお嫁さんになるかもしれないから、朔ちゃんにもひのえちゃんのこと好きになってほしい」
「…丙の嫁に?…俺も若葉には人の男と夫婦になってほしいけど…今度うちに連れて来て。俺が品定めするから」
「?うん、じゃあ今度連れて来るね」
今度は朔が蜜柑の皮を剥いて半分若葉に手渡して2人でもぐもぐ食べた後、眠気が襲ってきた若葉がころんと横になった。
すやすや眠っている若葉の寝顔に頬を緩めた朔は、押入れから掛け布団を出してやると若葉の身体にかけて同じように横になる。
そして気が付くと眠ってしまい、様子を見に来た息吹が無邪気に寝ている2人を見て小さく笑った。
「2人ともまだ子供なんだから。…でももうちょっと子供でいてね」
灯りを消して、そっと部屋を出た。
「朔ちゃん…起きてる?蜜柑一緒に食べようよ」
「…入って」
小さな返事が聴こえたので少しだけ襖を開くと、朔は背を向けて火鉢の前で本を読んでいた。
半妖故にある日突然背が伸びてどんどん大人びてしまった朔――
今や主さまに引けを取らない背の高さだし、無邪気さはそのままに外見は主さまそのもの――女にもてないわけがない。
こんなかっこいい幼馴染が居ることを自慢に思っていたが、どう伝えればいいのかわからずに今まで過ごしてしまった若葉は、回り込んで朔の前に座った。
「あったかいね。はい朔ちゃん、蜜柑」
「…うん、ありがとう。…若葉、何も起きなかったよな?」
「何も起きなかったってなに?何か起きる予定だったの?」
「…なんでもない。お前は俺の幼馴染だから心配なんだ。軽はずみに男の家に行って危ない目に遭ったりするな。…心配なんだ」
朔の切れ長の黒瞳が本当に心配そうに少し垂れたので、何を心配されているかもわからないままだった若葉は、蜜柑の皮を剥いて朔に手渡すと、こくんと頷いた。
2人でひとつの蜜柑を分け合って無言で食べているうちに、ぴりぴりとした空気が和らぎ、ようやく朔が話すようになった。
「朔ちゃんは…ひのえちゃんのこと、嫌い?」
「話したことないからわからない。でも好きじゃない気がする」
「どうして?私…ひのえちゃんのお嫁さんになるかもしれないから、朔ちゃんにもひのえちゃんのこと好きになってほしい」
「…丙の嫁に?…俺も若葉には人の男と夫婦になってほしいけど…今度うちに連れて来て。俺が品定めするから」
「?うん、じゃあ今度連れて来るね」
今度は朔が蜜柑の皮を剥いて半分若葉に手渡して2人でもぐもぐ食べた後、眠気が襲ってきた若葉がころんと横になった。
すやすや眠っている若葉の寝顔に頬を緩めた朔は、押入れから掛け布団を出してやると若葉の身体にかけて同じように横になる。
そして気が付くと眠ってしまい、様子を見に来た息吹が無邪気に寝ている2人を見て小さく笑った。
「2人ともまだ子供なんだから。…でももうちょっと子供でいてね」
灯りを消して、そっと部屋を出た。

