主さまの屋敷に着くなり玄関まで迎えに来てくれたのは息吹で、困ったように肩を竦めて手招きをされた。
「お姉ちゃんただいま。私、家に戻るね」
「今日はもううちに泊まっていきなさい。お布団も用意してるから」
少しだけ怒った口調の息吹が背を向けて中へ引き返して行ったので、息吹に嫌われたくない若葉は慌てて草履を脱ぐと、ぱたぱた足音を立てながら息吹を追いかける。
その途中に朔が柱に寄りかかって腕を組んで立っていたが…朔の表情もどこか険しい。
「朔ちゃんただいま。…お姉ちゃんも朔ちゃんもどうして怒ってるの?」
「…別に。丙とかいう男の家に行って何をしてきたんだ?」
「何って…お話だよ?私明日からひのえちゃんのお家の畑を手伝うことにしたから、寺子屋にはひのえちゃんと行くし、朔ちゃんが今まで送り迎えしてくれたけどもう大丈夫。今までありがと」
「……」
ふいっと顔を背けた朔が自室に入って音を立てて襖を閉めてしまい、若葉の脚が止まった。
自分の言葉のどこで朔が怒ったのかもわからず、ぽすぽすと襖を叩いても返事がなく、戸惑って動けずに居ると、息吹が戻って来た。
「若葉、こっちにおいで」
「お姉ちゃん…朔ちゃんが怒っちゃった…」
「…朔ちゃんのことはいいから、こっちにおいで。主さまは今百鬼夜行に出てるから、私と雪ちゃんが話を聴くから。何か言わなきゃいけないことがあるでしょ?」
――どうやら丙の存在は快く受け入れてもらえていないらしい。
そうわかると、“夫婦になろう”とまで言ってくれた丙を絶対庇おうと決めた若葉は、縁側に座っている雪男と、火鉢の前で手招きをする息吹の顔を交互に見て、大きく首を振った。
「ひのえちゃんのことを悪く言うつもりなんでしょ?だから話したくない。ひのえちゃんは優しくていい人なんだから」
「若葉…悪く言うつもりはないの。でも丙っていう子のことを私たちはよく知らないから教えてもらえる?好きなの?愛してるの?」
火鉢の前に座った若葉は、丙と同じ問いかけをしてきた息吹の顔をじっと見つめてまた首を振った。
「…わからないけど…明日から畑を手伝って、ひのえちゃんと一緒の時間を作るの。…“夫婦になりたい”って言ってくれたから…」
息吹と雪男が顔を見合わせて驚いた表情を浮かべた。
何よりも、銀が激怒する様が目に浮かんだ息吹は肩で大きく息をついた。
「お姉ちゃんただいま。私、家に戻るね」
「今日はもううちに泊まっていきなさい。お布団も用意してるから」
少しだけ怒った口調の息吹が背を向けて中へ引き返して行ったので、息吹に嫌われたくない若葉は慌てて草履を脱ぐと、ぱたぱた足音を立てながら息吹を追いかける。
その途中に朔が柱に寄りかかって腕を組んで立っていたが…朔の表情もどこか険しい。
「朔ちゃんただいま。…お姉ちゃんも朔ちゃんもどうして怒ってるの?」
「…別に。丙とかいう男の家に行って何をしてきたんだ?」
「何って…お話だよ?私明日からひのえちゃんのお家の畑を手伝うことにしたから、寺子屋にはひのえちゃんと行くし、朔ちゃんが今まで送り迎えしてくれたけどもう大丈夫。今までありがと」
「……」
ふいっと顔を背けた朔が自室に入って音を立てて襖を閉めてしまい、若葉の脚が止まった。
自分の言葉のどこで朔が怒ったのかもわからず、ぽすぽすと襖を叩いても返事がなく、戸惑って動けずに居ると、息吹が戻って来た。
「若葉、こっちにおいで」
「お姉ちゃん…朔ちゃんが怒っちゃった…」
「…朔ちゃんのことはいいから、こっちにおいで。主さまは今百鬼夜行に出てるから、私と雪ちゃんが話を聴くから。何か言わなきゃいけないことがあるでしょ?」
――どうやら丙の存在は快く受け入れてもらえていないらしい。
そうわかると、“夫婦になろう”とまで言ってくれた丙を絶対庇おうと決めた若葉は、縁側に座っている雪男と、火鉢の前で手招きをする息吹の顔を交互に見て、大きく首を振った。
「ひのえちゃんのことを悪く言うつもりなんでしょ?だから話したくない。ひのえちゃんは優しくていい人なんだから」
「若葉…悪く言うつもりはないの。でも丙っていう子のことを私たちはよく知らないから教えてもらえる?好きなの?愛してるの?」
火鉢の前に座った若葉は、丙と同じ問いかけをしてきた息吹の顔をじっと見つめてまた首を振った。
「…わからないけど…明日から畑を手伝って、ひのえちゃんと一緒の時間を作るの。…“夫婦になりたい”って言ってくれたから…」
息吹と雪男が顔を見合わせて驚いた表情を浮かべた。
何よりも、銀が激怒する様が目に浮かんだ息吹は肩で大きく息をついた。

